抄録
〔目的〕変形性膝関節症患者の降段時の外部膝関節内転モーメント(以下,KAM)の特徴を明らかにすることであった.〔対象〕内側型変形性膝関節症と診断された女性10人(膝OA群)と健常高齢女性15人(対照群)とした.〔方法〕三次元動作解析システムを用いて,階段降段と平地歩行時の立脚期のKAM最大値,積分値,平均値を算出した.〔結果〕両動作において,KAM最大値は群間での有意差を認めず,膝OA群のKAM積分値は対照群と比較して有意に高い値を示した.降段動作において,膝OA群のKAM平均値は対照群と比較し有意に高い値を示した.降段立脚期の中では単脚支持期でのみ有意差を認めた.〔結語〕変形性膝関節症患者では,KAMの変化は歩行よりも降段において生じやすく,特に降段の単脚支持期において著明となる.