2015 年 30 巻 3 号 p. 421-427
〔目的〕ある終末期がん患者(Aとする)のリハビリテーションを担当した理学療法士(Sとする)が経験した葛藤を質的研究によって構造化し,その本質を明らかにすることとする.〔対象〕3年目の理学療法士1名である.〔方法〕半構造化したインタビューを行い,語られた内容を質的データ分析にて解釈し,概念モデルを生成した.〔結果〕Sが経験したAの治療過程において,最終的に命を救えない苦しみ,治療介入に対する満足と後悔,医療チーム内で意識が統一されていないことによるジレンマという3つの葛藤が生じていた.〔結語〕がんのリハビリテーションに従事する理学療法士が対面する葛藤を明らかにした.