2015 年 30 巻 3 号 p. 449-452
〔目的〕脳卒中片麻痺患者における体幹側屈筋力の左右差に股関節周囲筋の麻痺が影響するか否かを明らかにする.〔対象と方法〕初発脳卒中片麻痺患者9名を対象に,端座位で麻痺側と非麻痺側方向への等尺性体幹側屈筋力を「骨盤固定なし」と「骨盤固定あり」で測定し,麻痺側と非麻痺側で比較した.〔結果〕「骨盤固定なし」では麻痺側筋力が非麻痺側筋力に比べ有意に低下し,股関節周囲筋の麻痺が重度な者ほどその傾向が強かった.「骨盤固定あり」では左右差はみられなかった.〔結語〕脳卒中片麻痺患者における体幹筋力の左右差は骨盤の固定に働く股関節周囲筋の麻痺の影響により出現し,骨盤を他動的に固定しこの影響を小さくすることで左右差がなくなると考える.