2020 年 35 巻 1 号 p. 41-47
〔目的〕筋骨格シミュレータを用いて,松葉杖歩行中に脇当てが腋窩から脱落する要因を検討するために脊柱側屈と肩関節外転の関係を調査した.〔対象と方法〕被験者は,整形外科的疾患を有していない若年成人男性5名とした.まず,3次元動作解析システムを用いて松葉杖歩行中の動きのデータを計測した.次に,得られたデータをもとに筋骨格シミュレータを用いて松葉杖歩行中の脊柱側屈と肩関節外転の関係について調べた.〔結果〕松葉杖立脚期中の足底離地から足底中間点までの間,足底中間点から足底接地までの間,足底接地から松葉杖離地までの間では,脊柱側屈角度変化量と肩関節外転角度変化量に有意な相関がみられた.〔結語〕脊柱側屈と肩関節外転にはある一定の関係があり,松葉杖歩行時の脇当ての腋窩からの脱落に影響する可能性が考えられた.