2020 年 35 巻 2 号 p. 283-288
〔目的〕人工膝関節全置換術前後における急激な下肢アライメント変化が両下肢の運動力学的変数,歩行パラメーターに与える影響を解明することとした.〔対象と方法〕両変形性膝関節症で人工膝関節全置換術目的にて入院した30名に,術前と術後6週で三次元動作解析,床反力計にて自由歩行を測定した.歩行時の外部膝関節内反モーメント,床反力鉛直成分,身体重心移動距離,歩行パラメーターの平均値を算出した.〔結果〕術側の膝内反モーメントは減少,非術側の運動力学的変数と歩行パラメーターへの影響は最小限であった.〔結語〕術後6週の術側では下肢アライメントの改善により膝内反モーメントは減少した.非術側では歩行スピード,床反力,重心移動距離に差を認めないことから術前の歩行パターンが残存した.