2020 年 35 巻 3 号 p. 461-466
〔目的〕低栄養大腿骨近位部骨折患者に着目し,退院時における歩行自立度の調査と歩行自立度に関連する要因を明らかにすること.〔対象と方法〕集計対象者は66名.退院時の歩行自立度を調査した.歩行自立度で分類した各群の諸特性について比較検討した.〔結果〕退院時における歩行自立度は,自立群は22名(34%),監視群は24名(64%),介助群は20名(23%)であった.3群間比較の結果,有意差を認めた項目は,受傷前歩行能力,入院時歩行能力,入院時認知機能であった.〔結語〕退院時に歩行が自立できた集団は,受傷前から歩行が自立できており,入院時の歩行能力や認知機能が高いことが特徴であった.これら要因は歩行自立度に関連することが示唆された.