2020 年 35 巻 5 号 p. 667-672
〔目的〕大腿骨近位部骨折後に手術を施行した65歳以上の高齢患者に対し,方向性早期決定に関与する因子を検討することを目的とした.〔対象と方法〕大腿骨近位部骨折手術後の65症例を自宅退院群と転院群の2群に分け,診療録より患者情報を収集し,退院先との関連因子を分析した.〔結果〕方向性早期決定に関する因子として,術後1日目における担当理学療法士の回復予測(オッズ比8.9),動作レベルとして車椅子移乗の実施(オッズ比8.3)が抽出された.〔結語〕本研究では,術後1日目における理学療法士の回復予測と,車椅子移乗実施の有無が,方向性早期決定の因子になりうることが示唆された.