2020 年 35 巻 6 号 p. 837-841
〔目的〕片側人工膝関節置換術を控えた変形性膝関節症(膝OA)患者における術後の股関節周囲筋へのアプローチ考案の一助になるデータを得ることを目的とした.〔対象と方法〕対象は,年齢,性別をマッチングさせた膝OAなし群18名,膝OAあり群17名であった.方法は,ハンドヘルドダイナモメーターを用いて,股関節伸展,外転,外旋筋力を2回ずつ測定した.〔結果〕股関節伸展および外転筋力において,膝OAあり群で有意な筋力低下を認めた.膝OAあり群の術側と非術側間での比較では,3方向全てにおいて有意差を認めなかった.〔結語〕手術を控えた変形性膝関節症患者は,術前から股関節周囲筋力が低下していることが示唆された.さらには,その筋力低下は両側性に認められた.