2022 年 37 巻 1 号 p. 45-58
〔目的〕新たに考案した3週間入院運動プログラムによる介入前後の線維筋痛症(FM)患者の心身の変化を調査し,理学療法士(PT)の適切な対応を明らかにすることである.〔対象と方法〕FM女性患者12名を対象とし,医療や心理学などの専門家による共同チームが考案した3週間入院運動プログラムによる介入を行い,その前後において質問票(日本語版線維筋痛症質問票(JFIQ),日本版ベック抑うつ質問票(BDI-Ⅱ),The 8-item Short-Form Health Survey (SF-8))による評価と心理面談による聴き取りを行った.〔結果〕本プログラムによりFM患者のJFIQでは11名,BDI-Ⅱでは10名,SF-8では9名(身体面),8名(精神面)が改善を示した.患者の語りからは,患者の痛みや辛さに寄り添う姿勢など,PTの対応が患者にとり重要であることが示唆された.〔結語〕本プログラムはFM患者の心身に変化を及ぼす効果があり,その遂行において患者の痛みや辛さに寄り添うPTの姿勢が重要である.