2023 年 38 巻 3 号 p. 150-160
〔目的〕標準的な後傾5°座面,15°前傾座面,座面前部が前傾し後部が標準と同一角度の半前傾(half-sloped seat shape:HS)座面の3つを用いて安静,上肢動作時の座位姿勢と体幹下肢筋活動に与える影響を調査した.〔対象と方法〕対象は健康成人12名とした.標準,前傾,HSの3座面で,机上中央を見て動かない安静座位と利き手でペットボトルを机上左右と前後に移動する上肢運動中移動回数,寛骨大腿骨角度と座面大腿骨外側上顆間距離変化,動作肢三角筋前部,両側僧帽筋上部,外腹斜筋,腰部脊柱起立筋,大腿直筋,外側広筋,腓腹筋外側頭表面筋電図を比較した.〔結果〕HS座面は,標準座面より座面大腿骨外側上顆間距離延長が少なく,前傾座面より距離延長と右大腿直筋,左外側広筋,右腓腹筋の筋活動が少なかった.〔結語〕HS座面により活動に適した座位姿勢の維持に寄与できる可能性が示唆された.