1989 年 4 巻 1 号 p. 27-33
脊髄小脳変性症の重症度分類と簡易なバランス機能検査法を作成し、その使用結果を検討した。バランス検査の得点は、ほぼ患者の重症度にしたがって分布した。バランス検査において、静的バランスの得点と動的バランスの得点は±2点の範囲にほぼおさまり、両得点の相違から患者のバランス機能の特徴が比較できると思われた。また、脊髄小脳変性症患者の最高歩行速度と一定距離に要する歩数との比較から,失調症患者の最高歩行速度はケイデンスではなく、歩幅により決まることが推測された。以上の結果から、今回作成した重症度分類とバランス検査は脊髄小脳変性症の理学療法の施行に資するものと思われた。