1989 年 4 巻 4 号 p. 209-216
胸部外科における心肺疾患患者の肺理学療法目的は、術前、術後の呼吸機能低下が原因で出現する種々の合併症予防と換気効率低下改善にある。術前において最も重要なことは、患者及び家族教育であり、呼吸訓練の重要性を理解してもらうことは肺理学療法の目的達成のポイントとなり得る。次は、術前、術後の全身状態が非常に異なることを念頭に置き、患者が普段から意識しなくても腹・胸式呼吸パターンが行える様に指導する。最後に、術前、術後の呼吸音を聴診することで、これは術後背臥位期間中の外側肺底区・後肺底区の聴診は異常呼吸音の早期発見につながるからである。