1991 年 6 巻 2 号 p. 55-61
肩関節の動作分析には、写真撮影や電気角度計による測定など様々な方法が用いられているが、これらには簡単に行えないという欠点がある。また、ADLとの関係を調べる際には、各方向の最大可動域を測定する場合が多く、動作時の実測値を測定したものは少ない。そこで今回我々は、結帯・結髪動作における肩関節角度(実測値)・指椎間距離・各方向の最大可動域を測定した。その結果、結髪動作における挙上角度には屈曲よりも外転がより影響していることが分かった。また、指椎間距離の測定によリ結帯動作における内旋可動域の重要性が再確認できた。健常群と拘縮群との比較では、結髪動作ではA-T angleと肘屈曲に、結帯動作では水平の動き・見かけ上の外転・肘屈曲・指椎間距離に差を認めた。