理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
中年肥満女性患者における運動療法による体重減量と運動生理代謝に関する検討
加藤 順一原 泰久鳴滝 恭也
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1994 年 9 巻 2 号 p. 67-70

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抄録

中年肥満女性14名を対象に有酸素運動(最大酸素摂取量のおよそ60%の運動強度)による運動療法を行い,体重減量の運動生理学的代謝の変化について検討した。血圧,Body Mass Indexと体脂肪率は有意に低下したが,Lean Body Mass(除脂肪体重)は変化しなかった。体重減量の前後で自転車エルゴメーターを用いた運動負荷テストによる呼気ガス分析で,最大酸素摂取量と最大心拍数は変化しなかったが,最大分時換気量は12%,METS maxは14%,LOAD maxは11%それぞれ有意に増加した。また,体重あたりの酸素摂取量も有意に増加した。無酸素性作業閾値(AT点)における最大酸素摂取量と最大心拍数は変化しなかった。これらの結果から中年肥満女性において適度な強度の運動療法による体重減量が,呼吸循環器および生理代謝の面で有効であり,成人病の予防につながることが示唆される。

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