理学療法のための運動生理
Print ISSN : 0912-7100
上腕二頭筋と上腕三頭筋のSilent Period
木山 喬博井関 朋子猪田 邦雄松田 幸子山野井 祐子
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1994 年 9 巻 2 号 p. 71-75

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抄録
随意収縮筋を攣縮させて得られるサイレントピリオッド(SP)に関する報告は多いが,その発生機序についての説明は中枢抑制説と末梢抑制説に大別される。叩打力の再現性が比較的良好なバネ式打腱器を作製し,神経経路長が同等と思われる上腕二頭筋と上腕三頭筋を対象に,腱反射誘発(T)波とSPおよび肉眼による筋肉長を計測し,SP潜時長と筋肉長との関係を検討した。SPの対象は,19~20(19.3±0.5)才,身長157.3±4.8cmの若年健常者がSP研究の対象であった。筋肉長測定の対象は,12遺体(解剖のための)の上腕二頭筋と上腕三頭筋で,mm単位のメジャーで測定した。本研究の結果,(1)上腕二頭筋と上腕三頭筋の腱反射潜時には有意差は無かったが,(2)上腕二頭筋のSPの潜時は上腕三頭筋のそれより有意に長く,(3)上腕二頭筋の筋肉の長さは上腕三頭筋より有意に長かった。筋肉の特性の違いがSP潜時に与える影響に着目し,筋肉を単純な弾性(バネ)モデルに見立てる考えを採用すると,筋肉長がSP潜時の長短に影響していることから,バネ常数は筋肉によって大きく異なることが推測される。
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