抄録
従来,脳卒中片麻痺患者の呼吸障害は拘束性障害が多いと報告されてきたが,それらに対する理学療法は,呼吸訓練器を利用したものが多く,長い訓練期間を要していた。我々は片麻痺患者の座位姿勢や体幹機能に着目し,その改善を目的とした1回の運動療法が呼吸機能に及ぼす効果を検討した。結果,%VC,胸郭拡張差は有意に増加した。これらは,片麻痺患者の呼吸機能障害が二次的に起こっている胸郭の可動性の低下や体幹筋の機能不全による横隔膜の機能低下なども要因として考えられた。それらの改善を目的とした全身的アプローチが必要であることが示唆された。