2000 年 15 巻 4 号 p. 167-171
本研究では装具装着時の歩行パターンとエネルギー効率の関係を明らかにすることを目的とした.健常な若年成人32名を対象に両側に通常の靴装着および左側のみ金属支柱付短下肢装具(SLB)装着時のphysiological cost index(PCI)を測定した.歩行はトレッドミル上で行い,踵部フットスイッチおよび下腿遠位部に添付した加速度計により歩行周期各フェイズの時間を測定した.主な結果として,SLB装着歩行時にエネルギー効率を高く維持した被験者では,SLB装着歩行時の遊脚時間が通常の靴による歩行時よりも長くなっていた.本実験結果をダイナミカル・システムズ理論における歩行モデルの1つであるhybrid mass-spring modelの観点から考察した.