陸水学雑誌
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特集:釧路湿原達古武沼の自然再生に向けて
達古武沼における過去30年間の水生植物相の変遷
角野 康郎
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キーワード: 水生植物, 衰退, 富栄養化
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2007 年 68 巻 1 号 p. 105-108

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抄録

 釧路湿原東端に位置する達古武沼における過去30年間の水生植物相の変遷を概観した。1970年代半ばには湖の全域に多量の沈水植物が生育し,沿岸帯にはネムロコウホネやオヒルムシロが優占する浮葉植物群落が発達していた。人為的な富栄養化が顕在化した1990年頃から水生植物相の変化も始まり,現在では消滅または消滅寸前の状態にある水生植物が増加している。浮葉植物ではヒシ群落が拡大中であるのに対し,ネムロコウホネ,オヒルムシロ,ヒツジグサなどは激減した。湖全体の水生植物の現存量と種の多様性はこの間に著しく減少した。

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© 2007 日本陸水学会
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