抄録
達古武沼の有機物堆積に影響を与える環境要因を把握するため,沖帯3地点での柱状試料のC及びN鉛直分布の解析を行った。達古武沼の堆積物の有機物含有量は,一般的な湖沼の堆積物の有機物含有量より大きく,岸に繁茂する抽水植物の影響が大きいことが示唆された。中央部の堆積物の浅い層ではC/N比が比較的低く,近年,植物プランクトンの影響が大きくなってきたことが示唆された。また,C及びN含有量は,中位の層で比較的大きな値を示し,沼と流域の開発初期の年代と一致した。この有機物は,人為活動によって達古武沼周辺のピート層から懸濁物が達古武沼に流入し,堆積したものと考えられる。一方,南部沖合では,深部のC, N含有量が少なく,達古武沼周辺では1700年代には人為影響がほとんど無かった事が推察された。