抄録
千曲川支流の浦野川において河川敷のワンド・タマリの環境要因と大型無脊椎動物を調査した。ワンド・タマリは湧水によって維持され,小さな面積,5~6月における低水温,低い溶存酸素量,及び貧栄養によって特徴づけられた。7月の大増水の後には多くのワンド・タマリは消失したり変形したりした。ヨコエビ類とタイコウチやコオイムシなどカメムシ目の何種かはワンド・タマリでのみ分布が確認されたが,トビケラ目は本流に比べてワンド・タマリで少なかった。貧毛類,ユスリカ科,カゲロウ目,トンボ目はワンド・タマリと本流のいずれでも豊富であった。無脊椎動物全体の個体数は,5月には溶存酸素量が高く面積が大きなワンド・タマリで,9月には本流までの距離が短く面積が大きなワンド・タマリで多かった。しかし,重要な環境要因は無脊椎動物のグループによって異なった。小河川におけるワンド・タマリは清浄な止水や湧水を必要とする無脊椎動物にとって重要であり,その保全が必要である。