陸水学雑誌
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原著
霞ヶ浦流入河川及び霞ヶ浦の懸濁物質の化学組成と発生のメカニズム
田切 美智雄納谷 友規長島 万梨映根岸 正美
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2009 年 70 巻 2 号 p. 87-98

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抄録
 霞ヶ浦とその流入河川の懸濁物質を1年間にわたって採取し,その化学組成をXRF分析のフィルター法によって求めた。試料には明らかに白濁現象を示すものは含まれていない。流入河川の懸濁物質は季節変化が明瞭で,夏期はAlとFeに富みCaに乏しく,冬期はAlとFeに乏しくCaに富む。これは,集水域での農業活動に起因する。夏期には水田から多量の粘土や鉄分が供給されている。冬期はCaに富む地下水の浸出の影響が大きい。湖水懸濁物質は上流から下流へ組成変化しており,上流では雲母粘土鉱物に富み,下流ではSiO2(珪藻殻)に富む。また,通常はCaとFeに乏しい。湖水懸濁物質の季節変化は少ない。河川懸濁物質が湖へ流入後,水質,特にpH,の変化によって沈殿と分別が起こり,その主成分が雲母粘土鉱物に変化する。結果として湖水懸濁物質は雲母粘土鉱物と珪藻殻の混合物となる。
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© 2009 日本陸水学会
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