抄録
霞ヶ浦とその流入河川の懸濁物質を1年間にわたって採取し,その化学組成をXRF分析のフィルター法によって求めた。試料には明らかに白濁現象を示すものは含まれていない。流入河川の懸濁物質は季節変化が明瞭で,夏期はAlとFeに富みCaに乏しく,冬期はAlとFeに乏しくCaに富む。これは,集水域での農業活動に起因する。夏期には水田から多量の粘土や鉄分が供給されている。冬期はCaに富む地下水の浸出の影響が大きい。湖水懸濁物質は上流から下流へ組成変化しており,上流では雲母粘土鉱物に富み,下流ではSiO2(珪藻殻)に富む。また,通常はCaとFeに乏しい。湖水懸濁物質の季節変化は少ない。河川懸濁物質が湖へ流入後,水質,特にpH,の変化によって沈殿と分別が起こり,その主成分が雲母粘土鉱物に変化する。結果として湖水懸濁物質は雲母粘土鉱物と珪藻殻の混合物となる。