抄録
淡水二枚貝ヨコハマシジラガイInversiunio jokohamensisの幼生の流下挙動を栃木県東部の水田用水路で調べた。水路内の中層にプランクトンネットを設置して採集を行ったところ,生きた幼生とその殻,早産卵が検出された。生きた幼生は2月から5月に確認され,早春の2月に最も多かったのに対し,殻は10月まで確認され,5月に最も多くなった。11月から1月にかけてはいずれもまったく検出されなかった。一年を通じて妊卵することが知られていた本種の繁殖期は早春から秋期までに限られ,盛期は早春期の短い間に限られることが分かった。プランクトンネットを用いた幼生の採集調査は,妊卵成貝に与える悪影響が少なくて済み,イシガイ類の繁殖生態の調査に有用であることが示された。