抄録
本邦194河川における自然レベル溶存態U濃度を誘導結合プラズマ質量分析法で測定した。194河川249地点におけるUの平均濃度として40.8 ng L-1が得られた。ただし,沖縄の河川は濃度が極めて高いものが多く,沖縄4河川を除いたところ平均値は30.3 ng L-1まで下がった。これらの値は,世界の河川の平均値に比べると低かった。日本全域ではU濃度と各化学種濃度との間に相関は見られなかったが,近畿地方や九州地方などでは陽イオン総濃度やアルカリニティーとの間に関連が見られた。溶存態U濃度が高い地域は,集水域地表のU濃度が高い地域および花崗岩の分布域とおよそ一致した。これらの結果から,河川水中のUの供給源は花崗岩の風化によるものであることが示唆された。一方で,河川水中の濃度は高いにもかかわらず河川堆積物分析に基づく地球化学図においてU濃度が低い地域も存在した。これらの地域では,石灰岩の風化の際に生じた炭酸イオンとの錯体形成により,Uが選択的に溶出している可能性が考えられた。