陸水学雑誌
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矢作川の生態系を支える付着藻類の栄養状態
内田 朝子大八木 麻希加藤 元海中西 正己
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2013 年 74 巻 2 号 p. 63-72

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抄録
 本研究は矢作川に生育する付着藻類群落の栄養状態をHillebrand and Sommer(1999)が提唱する比(懸濁態の炭素(PC),窒素(PN),リン(PP)比がモル比で119:17:1)を用いて評価することを目的とした。
 調査は矢作川の5カ所で2008年8月から2009年9月に行った。矢作川の付着藻類群落の現存量の指標としたクロロフィルa量は,5.0-193.7 mg m-2の範囲で季節変動を示した。付着藻類群落は,5月から11月にかけてHomoeothrix janthinaを優占種とする藍藻群落から12月から4月にCymbella spp.,Gomphonema spp.を主とする珪藻群落へと遷移する季節パターンを示した。
 群落のPC: PN比およびPN: PP比の値を,河川付着藻類の最大成長速度の指標としてHillebrand and Sommer(1999)が提唱する比を尺度として付着藻類群落の栄養状態を評価した。調査期間を通して全地点から得られた付着藻類群落のPCとPN比およびPNとPP比はそれぞれ,7-8と10-20の範囲に分布のピークがあり,平均値は7.2と22.3であった。これらの結果は,矢作川の付着藻類群落が窒素とリンのいずれに関しても強い欠乏状態ではないことを示唆している。
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© 2013, The Japanese Society of Limnology
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