陸水学雑誌
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原著
周辺部河川からの宍道湖への汚濁負荷流入特性
菅井 隆吉溝山 勇管原 庄吾清家 泰
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キーワード: 宍道湖, 汚濁負荷, LQ式, TN/TP比
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2015 年 77 巻 2 号 p. 117-136

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抄録

 宍道湖周辺の24河川及び5小水路における,流量と水質負荷量の関係式として,最小二乗法によりべき乗形のL=aQbによる回帰式を求めたが,斐伊川のL= aQb式において,bの値(傾き)が平水時に比べて出水時においてTIN以外は,明らかに大きくなることが分かった。
 斐伊川による宍道湖への流入水量は全体の78%を占めたが,COD,TN,TIN,TP及びPO4-Pの負荷割合はそれぞれ,全体の60%,40%,62%,31%,36%であった。このように,斐伊川以外の河川からの総水量は約20%と小さいにもかかわらず,それらのTN及びTP負荷は高い割合を占めることが明らかになった。宍道湖への流入河川32地区の水質7項目の平均値に対して,クラスター分析を行ったところ,流入水の水質は5つのクラスターに分類されたが,斐伊川を除く宍道湖西岸域地点からの流入水のTIN /PO4-P比は,他の河川に比べ特異的に高いことが分かった。
 また斐伊川からの流入負荷においてリンは,COD,窒素に比べ,平水時,出水時ともに懸濁態の比率が高いことが分かったが,斐伊川の流入負荷におけるTN/TP比は,平水時の29が出水時には6.0に減少し,リンの負荷は相対的に出水時において高まることが明らかになった。

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© 2016, The Japanese Society of Limnology
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