陸水学雑誌
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宍道湖におけるヤマトシジミ年間漁獲量と夏季の水温・塩分との関係
山室 真澄神谷 宏
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キーワード: 低水温, 成長速度, 新規加入
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2015 年 77 巻 2 号 p. 175-181

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抄録

 宍道湖のヤマトシジミ漁獲量が夏季の水温・塩分によってどのような影響を受けているかを推定するために,月毎の水温・塩分(=電気伝導度)データと年間漁獲量(翌年と2年後)との相関関係を検討した。検討した項目は6月の水温・塩分,7月の水温・塩分,8月の水温,6・7月の平均水温,6・7月の平均塩分,7・8月の平均水温,7・8月の平均塩分,6~9月の平均塩分,6~9月の最低塩分,6~9月の最高塩分である。地点間で差異があるかを検討するために,淡水河川流入地付近,湖心,高塩分水流入地付近の3地点について,1984年から2012年までのデータを使用して解析を行った。その結果,6月の水温と翌年の漁獲量との間に,最も高い正の相関関係が認められた。また6月の水温の地点間の差は有意ではなかった。次に1972年~1983年6月の湖心部表層の水温データを加えて,翌年の漁獲量との相関関係を解析した結果,有意な正の相関が得られた(r = 0.52, p < 0.001)。宍道湖のヤマトシジミは,6月の水温が低いと成長速度が減少すると考えられた。

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© 2016, The Japanese Society of Limnology
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