陸水学雑誌
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特集:ユスリカ多様性研究をDNAバーコーディングにより進化させる
日本産ユスリカ科昆虫普通種における形態分類単位と分子系統単位との不一致
上野 隆平高村 健二今藤 夏子奥田 しおり大林 夏湖
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2016 年 78 巻 1 号 p. 27-34

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抄録

 ユスリカは陸水環境において底生動物相の主要な構成員であり,現在までに形態に基づいて日本国内から少なくとも1206種が記録されている。しかし,形態の違いが種の違いを反映しているかどうか疑わしい例もあり,DNAバーコーディングの活用が望まれている。我々は74形態種のCOI DNA 塩基配列を決定し,その内,分析した標本が1個体のみの13種を除く61形態種のユスリカについて分子系統関係との一致を調べた。その結果,57形態種では一致したが,4形態種では不一致が見られた。その中には多くの水域で優占種となる種が含まれているため,これらの水域での多様性観測に誤差をもたらしている可能性がある。これらの種については,形態的特徴と分子系統学的特徴にもとづいて種を再記載する必要がある。

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© 2017, The Japanese Society of Limnology
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