エリユスリカ亜科昆虫は多くの属からなり,様々な環境に適応し,多様な生活様式を獲得しているが,これらがどのような過程で分化し,生息域を拡大してきたのかは未だ明らかになっていない。そこで,本研究では,日本各地で採集したエリユスリカ亜科33属の遺伝子系統樹を作成し,形態的・遺伝的関係を考察した。その結果,形態的に近縁な属が遺伝的にも近い傾向が窺える一方,形態的に同じグループに属する属でも遺伝的には遠い場合もあり,これは平行進化による収斂が起こった可能性を示唆する。さらに,本亜科の海域への進出は一度ではなかったことが示唆された。