公共用水域の有機物指標として日本ではCOD(Mn)が採用されている。COD(Mn)は,分析方法が比較的簡単であるが,酸化率が一定でないなど様々な問題点が指摘されており,水中の有機物の指標としての適性が疑問視されている。本研究では糖及びアミノ酸についてCODとTOCを分析し,水中の有機物をどの程度分解できるのかを比較,解析した。TOCの測定値はいずれの化合物においても理論値に近い値が得られ,各溶液中の有機炭素がほぼすべてTOC計で検出された。一方で,CODは糖及びアミノ酸ともに溶液濃度が上がるにつれて酸化率は減少し,また,分解率も化合物によって大きく異なっていた。また,宍道湖・中海のフィールドデータを解析したところ,関係式は二次式で近似でき,その近似曲線は原点を通らなかったことから,TOCとしては検出されるがCODでは検出できない有機物が存在することを意味した。また,高濃度の有機物を含む環境水では,CODは分解が不十分になり,過小値を与えることがわかった。よって,水中の有機物量の指標としてTOCを用いるべきだと考えられた。