陸水学雑誌
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総説
外来シジミ類の分類と生態-Ⅰ 日本と世界における侵入・拡散
横山 寿
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2019 年 80 巻 3 号 p. 125-144

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抄録

 アジア原産のシジミ属二枚貝が1920年代に北アメリカに侵入し,その後,南アメリカ,ヨーロッパに拡散した。1980年代には日本国内にも侵入し,世界各地の生態系や経済に負の影響を及ぼしてきた。この問題への関心を喚起するため,どこを原産地とする何というシジミが,どのように,なぜ新地への侵入に成功し,分布を拡大させ,在来生態系や地域経済にいかなる影響を及ぼしてきたのか,いかなる対策が必要かを2報に分けて解説する。第1報の本報では分類の問題点,外来シジミの起源,侵入・拡散経路の推定に寄与した形態と遺伝子分析による系統分類および侵入・拡散のメカニズムを概説した。最近の系統分類研究の成果は次のとおり:1) 形態のみでは種,系統を同定できない;2) 雄性発生する雌雄同体,淡水性の数系統が外来種となっている;3) 在来のマシジミと外来のタイワンシジミ間の形態・分子遺伝学的差異は微小であり,両種はごく近い近縁種か,前者は後者の一系統と推定される。生息場所,形態,核型,精子形態,生殖様式,ミトコンドリア・核の遺伝子マーカーの分析により,外来シジミの系統,起源と侵入・拡散経路の一端が明らかになりつつある。

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© 2019, The Japanese Society of Limnology
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