陸水学雑誌
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総説
外来シジミ類の分類と生態-Ⅱ 生物学的特徴と生態系への影響
横山 寿
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2019 年 80 巻 3 号 p. 145-163

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抄録

 アジア原産のシジミ属二枚貝が20世紀に南北アメリカ,ヨーロッパ,日本に侵入・拡散し,定着した高密度個体群が水界生態系と地域の経済に負の影響を及ぼしている。この問題への関心を喚起するため2編の総説を執筆し,第1報において外来シジミ類の分類,原産地,侵入・拡散経路に関する既往知見をまとめた。本総説(第2報)では,生殖様式,食性,環境要因に対する生理的耐性など外来シジミ類の生物学的特徴,定着したシジミ個体群が生態系や経済に及ぼす影響とこれら個体群への生態系の反応を概説するとともに,外来種対策と今後の研究課題にも触れた。外来シジミの侵入・拡散の成功は環境耐性(塩分,水温,酸素など)より生殖・生活史特性(雌雄同体,双鞭毛の非減数精子,雄性発生,卵胎生;速い成長,早い成熟,強い繁殖力,高い分散能力といったr戦略的特質),二様(濾過食,堆積物食)の食性と高い濾水率により説明できる。

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© 2019, The Japanese Society of Limnology
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