本研究では伊豆半島を流れる狩野川を対象に,可視光カメラに加えてサーモカメラを搭載したドローンを用いて測定した河川表層水温に基づいて河川水内での湧水地点を推定し,湧水箇所と推定される地点と比較地点における水温や水質から湧水探査の可能性を検討した。水の比較にはさらに水中に含まれる微生物DNAの解析結果も援用した。河川水中に湧出する湧水は,限られた場の広がりの中であれ,河川水質に影響を与える可能性がある。あるいは季節を通して温度変化の小さい特異な場を河川生態系の中に作り出すなど,河川生態系の詳細な理解の上で湧水の把握は必要となろう。また,水循環の観点を踏まえた河川管理を考える上でも地下水の直接影響を評価することは重要で,ドローンを用いた河川観測技術はその有効な手段になると考えられる。