2025 年 86 巻 1 号 p. 1-17
広域を同時かつ高解像度で観測できる地球観測衛星GCOM-C/SGLIのデータを用いて,近年の琵琶湖における植物プランクトンの時空間的分布動態に対する温暖化の影響を評価した。本研究では,2018年から2022年における琵琶湖北湖のクロロフィルa濃度の経時変動を解析した。その結果,そのクロロフィルa濃度は5年間で有意な減少傾向(p < 0.001,-0.03 mg m-3 month-1)を示した。また,季節別のクロロフィルa濃度の経年変動を解析した結果,春・夏・冬期では明瞭な増減傾向が見られなかったが,秋期において減少傾向が明らかとなった。さらに,秋期における混合層発達速度および琵琶湖集水域における降水量は,この5年間で大きく低下していた。つまり,温暖化に伴う水循環の変化が,秋期における湖内外からの栄養塩供給の減少を引き起こし,その結果として,琵琶湖における植物プランクトン現存量が低下したと考えられる。