2025 年 86 巻 3 号 p. 125-136
三重県中部を流れる櫛田川派川の祓川に生息する汽水性のヤマトシジミ(Corbicula japonica)と淡水性のシジミ(マシジミあるいはタイワンシジミ)(Corbicula sp.)の餌資源を調べるため,2016年から2017年にかけて計4回, 炭素・窒素安定同位体比測定用の試料採取を6地点で行った。ヤマトシジミ (2地点,n = 54)と淡水性シジミ(2地点,n = 48)のδ13C値は-26.3 ‰から-22.2 ‰の間で,δ15N値は5.6 ‰から10.8 ‰の間で変動した。両種いずれも,δ13C値-δ15N値プロットにおいて地点間,採取時期間の違いが見られた。河川懸濁物のδ13C,δ15N値(6地点)は,淡水性シジミの2個体群とヤマトシジミの1個体群の主な餌資源が陸域由来の懸濁態有機物であったことを示唆された。また,最上流部の淡水性シジミのδ13C値からその餌資源が主祓川の水源である櫛田川頭取工の湛水域に由来する浮遊性藻類である可能性が,一方海水の影響を最も強く受ける最下流地点のヤマトシジミはδ13C値-δ15N値の関係から,海洋由来と陸域由来,両方の粒状有機物を摂食している可能性が示唆された。