非専門家の市民による身近な水域の監視事業の概要を紹介し,その成果と将来に向けての課題について議論する。「モニタリングサイト1000里地調査」は,環境省が推進する事業で,2005年に始まった。調査対象は,灌漑用の小河川・水路,溜池や,それらを涵養する湧水である。市民観測により,里地の湧水や溜池は,それぞれ2つの異なる類型が混在しており,水温,透視度や,pHなどの簡易観測で判別できることが示された。小河川・水路の濁りは,明瞭な季節変動を示し,降水などの自然条件だけではなく,土地利用が濁りに影響を及ぼしていることが示唆された。水質の特性は,小集水域ごとに決定され,広域的な気候帯や植生帯ごとの類似性は検出することはできなかった。地域の環境監視と保全への市民観測の有効性は示されたものの,継続性を保証する理念や技術的な問題は残されている。