陸水学雑誌
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湯原湖の陸水学的研究 (第2報)
樋口 昌三
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1968 年 29 巻 1 号 p. 13-20

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抄録
1. 岡山県湯原湖の全域にわたつて10の定点を設定し, 1965年8月7日から10日にわたつて陸水学的調査を行なつた.
2. 水温の垂直分布をSt.1~St.4でみると, 深さ2mから23mのあいだの層が変水層となつておる.
3. 水色はFOREL'S No.6-9, 透明度は1.6~40m, pH値は表面で72~74で湖底で6, 0~7.3である.そして溶存O2量は表面で7.88~10.56p.p.m, 湖底で8.67~10.02p.p.m.で湖底までよくとけている.
4. 第1報で報告したNH4-Nの量は平均値で0.02p.p.m.であつたが, 今回の平均値は0.08p.p.m.でその量が4倍になつている.これは湖水の栄養化が進みつつあることを示すものであろう.Total Feの湖底層での量は表水層の量にくらべてきわめて多く, 測定には現われなかつたが湖底直上水中のO2が著しく減少していたため湖底に沈殿したFe化合物が溶出したのであろうと考えられる.
5. 中和村の谷と二川の谷とのプランクトン相にかなりのちがいがみられる.出現したネットプランクトンの種数は30で, 個体数の最大はSt.2の5370/10l, 最小はSt.5で121/10lである.
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© 日本陸水学会
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