陸水学雑誌
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尾瀬沼における2種の枝角類,ホロミジンコ(Holopedium gibberum)とゾウミジンコ(Bosmina longirostris)の個体群動態と垂直分布の日周変化
花里 孝幸野原 精一
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1992 年 53 巻 1 号 p. 35-45

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抄録

1987年と1988年に尾瀬沼の枝角類Holopedium gibberumとBosmina longirostrisの個体群動態を調べた。また夏にこれらの枝角類の垂直分布の日周変化を調べた。2種の枝角類は7~10月のあいだ水柱全体に分布し,顕著な日周垂直移動は行っていなかった。個体群密度,生物量,成体の割合,抱卵率,出生率はどれも比較的安定していた。H.gibberumについては,平均個体サイズおよび最小の抱卵個体サイズが魚の少ない湖の同種のものより顕著に小さかったことより,この種に対する魚の捕食圧は尾瀬沼ではかなり高かったものと考えられた。

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