抄録
除草剤が河川の藻類生産に及ぼす影響を評価するため,1991年4月から8月まで小貝川定点の河川水中で緑藻のSelenastrum capricornutum の増殖試験を行い,同時に水中の除草剤濃度を測定した。また河川水中で検出された除草剤のSelenastram生長阻害試験とそれら除草剤の複合影響試験を行った。Selenastrumの増殖は5月初旬から下旬にかけて著しく抑制され,それはbutachlorとpretilachlorの相加的影響が主因であることを示した。5月末に河川水中の除草剤の種類は大きく入れ替わった。5月末前後には数種の除草剤の複合影響は認められるものの,6月初旬からはほとんどsimetryn単独の影響でSelenastrumの増殖が阻害され,その濃度低下と共に増殖阻害は6月末まで徐々に回復した。5月下旬につくば市近辺の他の河川水で行った試験でもSelenastrumの増殖阻害が顕著であった。小貝川定点に設置した人工基物上の藻類群集の増加率は5月中旬に急減したが,これは除草剤による可能性が極めて高く,この時には全ての優占種の現存量が減少した。除草剤により群集増加率が阻害を受けていると見なされる期間中では群集を構成する種類数も10種以下と少なくなった。6月中旬以降除草剤の濃度が低下し,河川水中でのSelenastrum増殖が回復した後にも群集増加率は降雨等の影響により時により低下したが,群集構成種は10~20種と除草剤の影響期間に比べ多かった。以上の結果から,田園地帯を流下する河川の藻類生産は5~6月に各種除草剤により影響を受けることが示唆された。