陸水学雑誌
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3種類の分析法で定量した池塘水中の溶存炭水化物
佐藤 泰哲落合 正宏小山 智和小出 直樹
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1992 年 53 巻 4 号 p. 317-326

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抄録
1990年5月から11月にかけ,池塘水中の溶存炭水化物(DCHO)濃度を3種類の異なった方法で定量した。フェノール硫酸(PSA)法の測定値の範囲は1.22-4.01mgC・l-1,平均2.15mgC・l-1で,常に一番高かった。塩酸3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)法の測定値(以下,MBTH-DCHO)は0.75-2.18mgC・l-1,平均1.36mgC・l-1であった。溶存有機炭素(DOC)に対するMBTH-DCHOの割合より,DCHOはDOCの中でかなり一定の割合で存在する事が分かった。8種類の中性糖がガスクロマトグラフィー(GC)で定量された。8種類の糖の合計(以下,GC-DCHO)は0.28-1.99mgC・l-1の範囲で,平均は0.99mgC・l-1であった。グルコール(25%),ガラクトース(22%),マンノース(15%)が主要な糖であった。春から8月初旬にかけ,GC-DCHOはMBTH-DCHOと良く一致し,秋にはMBTH-DCHOより低かった。
今まで報告されている,PSA法及びMBTH法の特異性の比較より,MBTH法の結果を全DCHOのプールサイズを表す指標として採用した。これに照らすと,PSA法は池塘水中のDCHO濃度を過大評価していたと言える。一方,測定に時間がかかり,また中性糖しか分析できないが,糖類組成を明らかにできるのはGC法の利点である。
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