1993 年 54 巻 1 号 p. 81-83
茨城県つくば市、筑波大学構内の屋外プールにある水道水出口にプランクトンネットを設置し、50~100トンの水道水を流下させた後、残さ物中の生物相を調べた。この中には線虫類、輪虫類、ソコミジンコ類などが見られたほか、クマムシ類もかなりの個体数が見出された。得られたクマムシは1種類であったが、分類学的検討の結果、イボヤマクマムシ属(lsohypsibius)に属する新種であることが判明し、ここに記載を行った。本種Isohypsibius hydrogogianus sp.n.(和名:スイドウクマムシ)は、第1脚~第3脚の内爪の下側に明瞭なcuticular barが存在することで他種と区別することができる。なお、水道水から見出された淡水性クマムシの記録は今回が世界で初めてと思われる。