陸水学雑誌
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諏訪湖で優占するユスリカ成虫の個体数,季節消長,および幼虫の水平分布
中里 亮治平林 公男沖野外 外輝夫
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1998 年 59 巻 4 号 p. 443-455

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抄録

1990年の4月から1991年の12月までの2年間,諏訪湖においてユスリカ成虫の個体数および幼虫の水平分布を調べた。全部で18種のユスリカ成虫が湖の東岸に設置したライトトラップと2.5m水深に設置した底層式羽化トラップによって捕獲された。ライトトラップにより捕獲数の多かった種は,Chironomus plumosus, Einfeldia dissidens, Prop-silocerus akamusi, Procladius choreusおよびGlyptotendipes tokunagaiであった。とりわけ前の3種で,ライトトラップにより捕獲されたすべてのユスリカ成虫の86%を占めていた。諏訪湖からE.dissidensが記録されたのは本研究が始めてである。C.plumosusは1990年には年3回の羽化期をもったが,1991年は2回であった。P.akamusiは両年とも10-11月に羽化期がみられた。E.dissidens, P. choreusおよびG. tokunagaiの羽化期は5-10月の間であったが,はっきりした羽化期のピークはみられなかった。
C.plumosus幼虫は深底帯に高密度に分布した。P.akamusiは全定点で高密度に分布した。一方,E.dissidens幼虫は,水深および灼熱減量と有意な負の相関を示しながら沿岸帯により多く分布していた。

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