陸水学雑誌
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びわ湖における近年の水温上昇について
遠藤 修一山下 修平川上 委子奥村 康昭
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キーワード: びわ湖, 水温, 地球温暖化
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1999 年 60 巻 2 号 p. 223-228

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抄録
過去約30年間のびわ湖における水温記録を調べた結果,特に最近の10年間での水温上昇が顕著であることが判明した。このような水温上昇は地球温暖化の影響であろうが,特に底層水温は約2℃上昇しており,冬季における冷却が弱まっていることを反映している。びわ湖のような1回循環湖においては,冬季の冷却による鉛直循環によって年間の最低水温が生成され,これがその後の成層期における底層水温として保存される。通常なら冬季に全層一様となる水温分布が,最近の暖冬の影響で2月や3月においても弱い成層が残る傾向にあることは,いわゆる「びわ湖の深呼吸」を妨げていることになり,びわ湖の物質循環や生態系に悪影響を及ぼすものとして危惧される。
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