日本臨床外科医学会雑誌
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食道壁内気管支性嚢腫の一治験例
三輪 恕昭浜崎 啓介日伝 晶夫山本 泰三橋本 雅明中原 東亜折田 薫三
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1978 年 39 巻 4 号 p. 504-507

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抄録

30歳,女性.前胸部圧迫感を主訴とし,胸部X線検査で右肺門部,心陰影に接し,右肺野に突出した鶏卵大,半球状異常陰影を指摘された.食道バリウム造影を行なうと,気管分岐部高位,中部食道右側に陰影欠損がみられたが,食道粘膜に異常なく, extracanalicular tumorを思わせた.食道内視鏡検査では,門歯より24~29cm肛側,右後壁よりに表面が正常食道粘膜に被われた腫瘤様突出をみた.縦隔腫瘍または食道平滑筋腫の術前診断で開胸すると,気管分岐部高位,食道右壁に鶏卵大,波動を有する腫瘤であり,腫瘤は表面平滑,灰白色で,その2/3が胸腔内に, 1/3が食道壁内にうづもれ,中に濃緑色膿様の液を容する嚢腫であった.またその病理所見は,嚢腫内壁が線毛円柱上皮でおおわれ,この嚢腫が気管支性嚢腫であることが分った.
気管支性嚢腫についての若干の文献的考察を併せ行なった.

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