抄録
特発性結腸穿孔は比較的,稀有な疾患であり,報告例ではS状結腸に穿孔する場合が圧倒的に多いとされている.
自験例3例がいずれもS状結腸に穿孔していることより,渉猟しえた特発生S状結腸穿孔の本邦報告例に,自験例を加えた40例について,疾患の特殊性,発生原因などについて検討を加えた.
発生時刻が,排便や食事等の腸蠕動が亢進する時期に一致する場合が多いことや,抵抗減弱部位の存在,腸管内圧と腹圧のアンバランス,便の蓄積など,種々の因子が,その発生に寄与していると考えられ,これら複数の因子の組み合わせによって発生するものと考えられた.
また,検査所見として,穿孔性腹膜炎にもかかわらず,白血球増多や,横隔膜下ガス像が出現する頻度が低いことなどが,本症の診断を困難にし,予後を不良にする原因と考えられた.
自験例3例も併せて報告したが,諸家の報告例の傾向とよく一致していた.