日本臨床外科医学会雑誌
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肺動静脈瘻の1例と本邦66例の臨床的検討
伊藤 進長谷川 英之後藤 隆人菊地 福三郎井出 研吉村 義之
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1978 年 39 巻 5 号 p. 735-742

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抄録
肺動静脈瘻は本邦では比較的稀な疾患であり,最近報告例が増えつつあるが,その集計例数は各報告者により一定していない.そこで我々は左上葉舌区内の単発性肺動静瘻の1治験例を経験したのを機会に出典の明らかな文献報告例65例を集計し,これに本例を加えた66例の臨床的検討を行い,かつこれ等と外国報告例との比較を試み,以下の結果を得た.
(1) 年齢は若年層に多く20代未満例が42.4%を占める,性差は8:5と男にやや多い.
(2) Rendu-Osler-Weber病との合併は外国例(30~60%)程多くはなく,家族歴を含めても66例中8例と12.1%を示したにすぎない.
(3) 臨床症状は本邦例,外国例ともほぼ同様でチアノーゼ,太鼓バチ指,運動時呼吸困難,多血症等の慢性低酸素血症由来の症状が多く,それぞれ50%前後の発症率を示した.
しかし約30%の症例は全く無症状であり,かつ本症に特徴的とされる病巣部に一致しての血管雑音も約40%の症例に聴取されなかった.
(4) 発生形態は単発と多発とあるが,本邦例では単発が70.8%と外国例(約60%)よりも多い.単発例の発生部位は両下葉が多く,各肺葉別の発生率は外国例と驚く程,一致した.
(5) 治療は手術的切除であり葉切例が最も多く80%を占めている.しかし本症は本質的には良性疾患であり,最近核出術等の切除範囲を少くする方向に努力されている.
(6) 予後は,本邦66例中手術例54例は, 1例の直死例(術後7日目,消化管出血を合併し死亡)を除きいづれも良好である.
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