2026 年 63 巻 2 号 p. 108-114
先天性免疫異常症(IEI)のなかでも診断後すみやかに造血細胞移植(HCT)を要する重症複合免疫不全症(SCID)ならびに免疫グロブリン補充療法(IgRT)を必要とするX連鎖無ガンマグロブリン血症に代表されるB細胞欠損症(BCD)は比較的頻度も高く,血液専門医が診療に関わることが多い.従来SCIDやBCDは重症あるいは反復感染症を契機に生後数か月から数年で診断され,まれには致死的経過をとることがあった.しかしSCIDならびにBCDはT細胞,B細胞の異常に基づくため,それぞれの新生能を反映するT細胞受容体遺伝子再構成断片(TREC),Igκ鎖遺伝子再構成断片(KREC)が低値となる.TREC,KRECは新生児ろ紙血から抽出した微量なDNAからも定量可能であり,新生児スクリーニング(NBS)に応用できる.SCIDおよびBCDの治療はそれぞれHCTおよびIgRTであるが,とくにHCTにおいてはドナーソースや前処置の選択が診療の鍵となる.IEIに対するHCTは腫瘍性疾患に対するHCTとは異なるアプローチが必要である.わが国においてはIEIの専門施設が限られているため,IEIの専門家と協力しながら,それぞれの地域での治療が必要となってくる.ここでは拡大NBSで見つかるIEIの診断ならびに治療のポイントについて述べたい.