抄録
消化器における重複癌の治療は容易でなく,また予後も不良である.そこでこれら重複消化器癌をretrospectiveに検討することにより,重複消化器癌全般にわたる治療成績のoutlineをつかもうとした.
検索対象は昭和42年12月から昭和52年7月までにわれわれが経験した消化器に関する同時性重複癌45例,異時性重複癌18例,計63例である.これらについて原発臓器および治療法と予後との関係を検討した.
同時性食道胃重複癌では両癌腫とも切除できたものはその他のものより予後が良かつた.しかし切除率は42.9%にすぎなかつた.
同時性胃結腸重複癌でも両癌腫とも切除された場合の予後が良く,また切除率は71.4%と比較的良好であつた.
その他の同時性重複癌では実質臓器癌あるいは食道癌を伴つたものの予後はきわめて不良であつた.
異時性食道胃重複癌についてみると,食道癌先行例では二次癌である胃癌を部分切除した症例の予後が比較的良好であつた.胃癌先行例では二次癌である食道癌に対して手術的治療を施行した症例は化学療法あるいは放射線治療を施行した症例よりわずかながら予後が良かつた.
その他の異時性重複癌ではやはり食道癌あるいは実質臓器癌を伴つた場合の予後はきわめて不良で,これらの早期発見の必要性が痛感される.