日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
重症細菌感染症(重症丹毒)に随伴した黄疸
山田 榮一佐藤 忠敏吉野 信二
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 39 巻 5 号 p. 807-812

詳細
抄録
肝・胆道・膵系を除く部位の重症感染症時に稀に黄疸を伴うことはすでに外国の文献で数多く報告がみられ,中でも新生児の尿路感染症時に多く,成人では比較的稀とされている.本邦ではこの面での認識が浅く,その報告は数例を散見するに過ぎない.
著者らが経験した重症細菌感染症(丹毒)に黄疸を随伴した1症例は31歳の独身男性で左環指背側の挫創から感染し手背・前腕・上腕にかけて浮腫状に発赤・腫脹し,圧痛を伴い更に有痛性発赤は躯幹左半部にまで及ぶ広汎な丹毒で,著明な白血球増加(43,800)と核形左方推移を認め,いわゆる類白血病性反応を示し,肝機能は直接型ビリルビンの増加を伴う黄疸と軽度のAl-P, GOT, GPTの上昇を認めた.左環指挫創面からはStaphylococcus epidermidisとCloacaが検出されたが,血液培養は4回とも陰性であつた.入院後直ちに強力な化学療法と肝庇護療法および局所氷罨法などが行われたが,入院当初はその治療効果が現われず入院第2-3病日になると黄疸・白血球数増加は更に増強し,見当識消失・譫妄状態などの精神症状も現われて来たが,第5~6病日頃より徐々に自・他覚的所見は改善され,第7~10病日には肝機能・白血球数は正常となつた.胆道造影(DIC, ERCP)肝生検などの諸検査により本症例の黄疸は細菌のtoxic productにより急性肝内胆汁うっ滞症を起したものと結論した.そこで重症細菌感染症時に随伴する黄疸の発生機転ならびにVirus性肝炎・薬物性肝炎・肝外性閉塞性黄疸との鑑別診断について考察した.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top