1978 年 39 巻 6 号 p. 996-1000
昭和48年8月から53年4月までの4年8カ月間に良性胆道疾患に対して46例の胆道再建術を施行した.それらの術式は胆管空腸吻合術34例,胆管十二指腸吻合術7例,膵頭十二指腸切除術4例,膵全摘術1例である.胆管空腸吻合術34例のうち28例は, Roux-Y型に, 7例は, GrassiらによるHepatico-jejuno-duodenoplastyに準じた有茎空腸移植法を行った.その有茎空腸移植法の症例は,術後良性胆道狭窄5例,胆石症と先天性胆道拡張症のそれぞれ1例で, 2年8カ月以上経過している.それらの術後経過について3例は順調に社会復帰しているが,他の4例のうち1例は,他病死, 3例は胆道再建術に起因すると考えられる胆道感染症による胆管炎症状や肝内結石の再発が疑われている.
これら7例の胆管十二指腸間有茎空腸移植の経験からこの再建法の問題点について述べた.