一般外科領域において最も多い炎症性疾患は虫垂炎であり,虫垂切除術は根治的でしかも最も安全な手術の1つであろう.一方,虫垂炎起炎菌は地域・年代により異なっており,各施設において定期的な起炎菌の検索により術後感染症にも適切に対処することが出来る.
今回,町立富来病院において昭和54年1月から4月までの4カ月間に経験した非穿孔性虫垂炎13例の起炎菌と薬剤感受性を調べた.その結果,虫垂内膿の好気性培養からは大腸菌が最も多く7例(44%)に, Pseudomonas aeruginosaが3例(19%)で他はPseudomonas cepatia, Enterobacter, Klebsiella, Proteus, Serratia, Streptcoccusの各1例が検出された.これらの菌種の薬剤感受性テストでは, Dibekacin Sulfate (DKB) (アミノグリコシド)が100% (12例中12例に)有効であり,他薬剤に比して最も良好であった.このDKBを術後全例に使用し,臨床的にも副作用もなく極めて順調に経過した.